最速143キロを誇る市川。市川は力を入れず、コントロール重視したと語るように、ストレートは常時130キロ前半~138キロと突出した数字ではない。ただ、1年生だった時と比べるとアベレージは常時5キロ以上は速くなっている。

 スピード以上に良いのは球質の良さだ。角度のあるストレートは縦回転で使える投球フォームから生み出すことができている。 

 ワインドアップから始動し、左足をゆったりと上げていき、右足の膝を適度に伸ばしてバランスよくたち、内回りのテークバックからしっかりと右肘を上げていき、打者よりでリリースすることができる。バランスの良いフォームによってキレのあるストレートを投げ込むことができる。 

 また本人も手応えを感じていたのが変化球のコントロール。スライダー、カーブ、チェンジアップの3球種を投げ込んでいたが、特に良かったのがスライダー。膨らみが小さく、打者の手元で鋭く曲がるこのスライダー。それほどスピードはあるわけではないが、次々とストライクが決まる。都立新宿ナインは変化球に狙いを絞っていたが、予想を上回るキレに次々と空振り。またコーナーに絶妙に決めるので、見送るしかない。また、都立新宿の打者がベースから遠ざかって構えるのを見逃さず、ボールが遠く感じるアウトコース主体の投球で試合を作った。

「ストライク先行ができたので投球として楽となりました」と語るように、初球からストライクが取れたのは打者28人中、22人。ボール球もほとんどなく、ほぼ市川の意のままに投球ができた。

 結果として、打者28人 15奪三振、外野フライ5個、内野フライ2個、内野ライナー1個、内野ゴロ3個(うち併殺1個)と圧巻の内容でノーヒットノーラン達成した。

 ストレートは本調子ではなかったとはいえ、最後まで大記録を意識しなかったと語るように、マインド面、投球内容がこの世代の中では突き抜けている。

 2016年以来の選抜を目指す関東一。それは新エース・市川 祐の投球にかかっている。

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