21年ぶり3回目の全国優勝を果たした智辯和歌山。4試合36回、7失点の安定感のある守りに加え、28得点と攻守ともに安定感のある戦いが目立った。シャープなスイングから次々と得点をする背景には2人の立役者があったことを忘れてはならない。

優勝を陰ながら支えた2人の控え部員


 決勝・智辯学園戦では予想を上回る攻撃を見せてくれた。
 初回から1番・宮坂 厚希のヒットを皮切りに、4番・徳丸 天晴の犠牲フライなどで一挙4得点。4対2と均衡した場面に追加点を入れた後、最終的には9得点を挙げた。

 決勝に限らず、智辯和歌山は今大会、4試合すべて先攻で、先取点を序盤で取って、早々に相手からリードを奪う。先行逃げ切りで勝利するパターンだった。

 ほぼ初対決となる投手たちばかりが相手となる甲子園という舞台で、最初から攻め立てられるのは、よほどの準備ができなければ難しい。そこには、背番号12をつけてベンチに入った石平 創士と、記録員としてベンチに入った黒木隆成の2人の3年生の存在がある。

 石平は、タイガースジュニアを経験し、下級生の時から捕手として出場。新チーム時は主将としてチームを引っ張り、リーダーシップも取れる。黒木は恵まれた身体能力を持った投手で、この夏はベンチ入りを諦め、スコアラーとしてチームを支えた。

 2人は、事前分析のポイントとして、対戦する相手投手のクイックタイム、初球の配球の傾向、ピンチの場面での配球の傾向、対戦する投手のクセを調べて、選手たちに伝えていたという。

 どんな投手なのか予習して、狙いがはっきりしていれば、迷いなくバットは振れる。雑念が無くなり、集中力は高まる。智辯和歌山ほどの打者であれば、それだけで全国区の投手との初対戦でもヒットを量産できる。立ち上がりから得点を重ねることは十分可能だ。



緒方漣と杉山遥希

<智辯和歌山のイニングごとの得点>
1-3回:11得点
4-6回:9得点
7-9回:8得点

 今大会4試合の得点を振り返っても、3回までにしっかり得点を奪っている。相手ピッチャーの調子も関係するところだが、毎試合、序盤で得点を重ねるのは、智辯和歌山の準備力が優れている証拠だろう。2人が導き出した傾向が間違いではなかったことを、得点で証明したことにもなった。

 試合後、宮坂主将は1年間を通じてのチームの成長点について、こう話した。
 「全員で勝つんだという団結力が、甲子園も含めて、この1年で成長したと思います」

 チームメイトに勇気と自信を与えた控え選手たちの「活躍」が、今年の智辯和歌山の強力打線を支え、優勝に貢献した。全員野球が智辯和歌山に21年ぶりの栄冠をもたらしたのだった。

(記事:田中 裕毅)