宮坂 厚希徳丸 天晴らを中心に据えて3回目の全国制覇を達成した智辯和歌山。4試合すべて2ケタ安打をマークしての計53安打28得点の強力打線に目が行くが、今年の智辯和歌山は守備も優れていた。

 今大会の智辯和歌山の失策は4試合で僅か2つだけで、いずれも送球ミスだった。三遊間の難しい打球をショート大西が処理し無理な態勢のまま二塁へ悪送球したときと、外野からの送球ミス。内野手の捕球に関する失策はなかった。

 堅守の中心を担ったセカンド・大仲 勝海は、スプリットステップで一歩目を素早く切る。さらに、一塁駆け抜け3.80秒(手動計測)の俊足を存分に活かした広い守備範囲に、正確なスローイングが光った。

 大仲と二遊間を組む大西 拓磨も一塁駆け抜け4.07秒(手動計測)の脚力を活かして、次々とアウトを重ねた。またサードの髙嶋奨哉も安定した守備を発揮した。チームを陰ながら支えた安定した守備が、智辯和歌山の優勝に繋がる導線となったと言っていい。

 智辯和歌山の内野陣は、グラウンドに対してあるおまじないをしていた。

 自分の守備位置付近で気になるところがあると、そこまで駆け寄って少ししゃがみ込む。そして自分の手で綺麗にならして定位置に戻る。グラウンドに何か願いを込めながら、丁寧にグラウンドを整備していた。まるで儀式のようなしぐさに、選手たちのグラウンドへの愛情すら感じた。

このおまじないは、先輩たちから脈々と受け継がれていた。

 「黒川(史陽)さんや西川(晋太郎)さんたちから、グラウンドを手で慣らすことをやっているんです。それを自分たちもやっています。
 グラウンドに対して、『跳ねないでくれよ』と思いを込めながら、手でグラウンドを慣らすようにしています」(大仲勝海)

 石平 創士、黒木隆成が分析したデータに基づいた独自の守備シフトも特徴的だったが、伝統ともいえるおまじないは、「事前の準備力」でもあり、甲子園での堅守につながった。

 「ファインプレーが何度もあって助けられました。心強かったです」

 エース・中西 聖輝もバックの堅い守備に決勝戦後、感謝の言葉を述べた。

 「跳ねないでくれよ」
 聖地・甲子園に願った選手たちの祈りを込めた儀式が、智辯和歌山の支えにもなって、21年ぶりの頂点を呼んだ。

(記事:田中 裕毅)