広島の4番のバットが止まらない。鈴木 誠也外野手(二松学舎大附出身)が、本塁打タイトル争いで猛追している。20日現在で、打率.322はリーグトップ。さらにすごいのは、本塁打が38本で、首位を並走するヤクルト村上 宗隆内野手(九州学院出身)と巨人岡本 和真内野手(智辯学園出身)の39本にあと1本と迫った。岡本と村上の一騎打ちと思われていたホームラン王レースが、三つ巴の様相を呈してきた。

 東京五輪まで15本だった本塁打は、8月以降量産態勢で、9月は13本塁打も放った。今季の鈴木の月間成績を見ると、シーズン終盤に差し掛かって上昇カーブを描いているのがよく分かる。

鈴木の月別打撃成績
3月 5試合 16打数4安打 0本塁打 2打点 打率.250
4月 25試合 86打数29安打 6本塁打 11打点 打率.337
5月 11試合 42打数12安打 1本塁打 5打点 打率.285
6月 19試合 61打数14安打 3本塁打 7打点 打率.230
7月 12試合 43打数17安打 5本塁打 13打点 打率.395
8月 15試合 47打数13安打 4本塁打 14打点 打率.277
9月 25試合 84打数32安打 13本塁打 22打点 打率.381
10月 14試合 43打数15安打 6本塁打 13打点 打率.349
(※10月20日現在)

 東京五輪の準々決勝米国戦、五輪初安打となるホームランを放った。五輪全体では思うような結果はでなかったが、あの一発で何かをつかんだのか。7、8月度の月間MVPを獲得して調子が上がっていたとはいえ、五輪後の成績は上昇の一途をたどっているように見える。9月に入ってからは6試合連続アーチを放ち、王貞治(巨人)バース(阪神)に並ぶ日本記録の7試合まであと一歩だった。

 インパクトの瞬間に最大の力が入るようなフォームになり、飛距離がグンとアップしたのか。五輪でタイミングの取り方などのヒントをつかんだのか。

 38本塁打は過去最多の18年30本を抜いてすでにキャリアハイ。19年以来の首位打者へ突っ走っているが、自身初の本塁打王との「2冠」も視野に入ってきた。そして6年連続「打率3割25本塁打以上」という、確率と飛距離という両立が難しいとされる打撃成績の実現も目の前にしている。王貞治(巨人)の8年連続が最高だが、そこを目指せるだけの円熟味が増してきている。

 言わずと知れた「大谷世代」の1人。エンゼルスの大谷翔平の「ショータイム」に刺激されたのか、「神っている男」が、まさに神がかり的な「逆転ホームラン王実現」に期待したい。