関東一がビックイニングでコールド勝ち 仙台育英は前半の拙攻が響く



関東一・谷幸之助

 「前半にランナーを出しながら2点しか取れなかった。そしてリードしたことで後半に守りに入ってしまった。これに尽きると思います」

 試合後に、仙台育英の須江航監督の言葉がこの試合を象徴していた。
 初回に相手のミスから1点を先制し、5回にも7番・笹倉 世凪の犠牲フライで1点を追加した仙台育英。優位に試合進めていたが、5回裏に思わぬ落とし穴が待っていた。

 ここまで好投を見せていた笹倉をとらえ、満塁のチャンスを作ると、代打・谷口 龍汰が右中間を破るタイムリースリーベースを放ち一気に逆転に成功すると、その後も再び満塁のチャンスから5番・平川がタイムリーヒットを放って追加点を挙げる。
 打線に火が付いた関東一は、その後も層の厚い仙台育英の投手陣に猛攻を浴びせて、5回だけで何と10得点。結局、この5回の10点が全てを決める結果となった。

 だが、この5回の「10点」ばかりに目が行きがちだが、前半に粘りのピッチングを続けることができた谷幸之助の存在がビックイニングをたぐり寄せたと言ってもよい。

 谷本人も「フォームのバランスが崩れていましたが、何とか粘ることができました」と語るように、5回まで5安打を浴びて味方のエラーも3つ出るなど、毎回のようにランナーを背負う苦しいピッチングが続いた。
 だが常時140キロ代前半のストレートを軸に、低めを意識しながら我慢強く投球を続けたことで、点を奪われても最少失点で切り抜けることができた。



リリーフの市川祐(関東一)

 ちょうど1年前までは、全国でも通用する真っ直ぐを持ちながらも、不安定な投球で勝ちきる投手になれなかった谷。投球に安定感がでてきたきっかけに、昨年12月のキューバ遠征があったことを明かす。

 「キューバ遠征で自分の力を発揮できずに、帰ってきてから(安定感を求めて)8割の力で投げるようになり、球質を求めるようになりました」

 高いレベルの中での悔しさが、選手をより成長させることを証明するようなエピソードといえよう。

 また谷の後を受けて、6回からマウンドに上がった1年生右腕の市川 祐も高い将来性を持った大型右腕であった。
 中学時代はシニアの日本代表にも選出され、その高い将来性を推す声は多くあったが、順調に成長していることが伺えた。体にも力感や躍動感が感じられるようになり、この日は最速137キロを記録。緩いカーブも要所要所で決まり、2回を無失点に抑えた。
 1年生にして、全国レベルの打者と対戦できたことは大きな経験となっただろう。

 決勝に進出した関東一は、10月2日の13時より海星と対戦する。準決勝では甲子園優勝校の履正社を強打で下して勝ち上がった海星打線に対して、関東一がどんな野球を見せるか注目だ。

(文=栗崎 祐太朗)

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