◆下半身からの勢いを使って

 自慢の攻撃で石見智翠館を打ち崩した智辯和歌山。本来の力を準分に発揮したが、初回の攻撃から落ち着いた投球を塩路の好投が大きかったのではないだろうか。

 初球から自己最速144キロを計測するなど、初回は全球140キロを超えるスピードボールで石見智翠館を圧倒した。

 2回以降は変化球を混ぜながらの投球ではあったものの、時折見せる真っすぐには力があった。2年生ながら準々決勝を任されるのも納得のポテンシャルだ。

 ただ、能力だけで140キロを超えるボールを投げているわけではない。テイクバックはコンパクトにまとめているものの、投げ終わりは蹴りだす右足が、軸足である左足を追い越すような形でフィニッシュしている。きちんと重心移動を使えていることで、速球に繋がっているのではないだろうか。

◆速さを強さに変えて

 好投を見せた塩路は「初回から緊張していました」と初めての甲子園での投球を終えて、少し興奮気味に振り返った。そのうえで「持ち味のストレートで攻められたのは良かったです」と自分らしく投げ抜けたことに満足していた。

 では、自信が持てるような力のある真っすぐ投げ込むために、意識していたのは、速さだった。
 「入学した時はモーションが無駄に大きかったので、そこを見直しましたが、あとは周りに比べて体は小さいので、代わりに素早く動けるフォームであれば、その分を補えるかなと思って意識しています」

 172センチ72キロと智辯和歌山の投手陣のなかでは、もっと身体が小さい。それを補うために速さ、特に腰の回転を速くすることが、力へ繋がり、ボールに伝わっていた。だから右足が軸足よりも前の方までいくようにフィニッシュしているのだ。

 まだ2年生であることを考えれば、来年も楽しみな投手だ。ただ塩路は「先輩たちとできるのも1週間ないので、最後までやり切りたいです」と先輩たちの夏を最後まできち切ることを考えている。日本一まで残り2勝、次戦も活躍が楽しみだ。