試合の入りで主導権を握った東亜学園が都立淵江の追い上げをかわす



先制の二塁打を放った東亜学園・小西君

 体育の日の休日。東京都大会はこの三連休で1回戦が終わり、64校が32校に絞り込まれる。そして、来週にはさらに半減していく。こうして、春の大会は一週間ごとに勝ち残りが半分ずつになっていく。それもまた見る側にとっては、醍醐味ではある。
 そんなトーナメントの大会では、どんなチームでも、まずは初戦の戦い方、初戦突破が最大の目標となる。その最初の試合の入り方は、特に意識するところである。 都立淵江は初回、先頭の須田君が右前打で出てまず、いい流れを作りかける。しかし、その後は四球こそあったものの、東亜学園の小西君の落ち着いたマウンドさばきの前に併殺でつぶした。

 そしてその裏、東亜学園も先頭の阿部君が内野安打で出塁すると内海君も右前打でつなぎ一二塁。3番の小西君は狙いすまして右中間に運んで2者を帰す二塁打。さらに岩本君も右前打で一三塁。高木君には死球で、淵江の和田君はなかなかアウトが取れない。苦しい試合の入りの守りとなった。やっと一死となった後7番高橋俊一君も左前打してさらに2点が追加された。
 都立淵江としては、意識していた立ち上がりだったが、自分たちのリズムに持ち込めないまま機先を制せられた。
 さらに2回にも東亜学園は二死一三塁から4番岩本君が中越二塁打してさらに2点。5回にも押し出しで追加点を挙げて前半は完全に東亜学園のペースとなり、コールドゲームの可能性も出てきた展開となってきた。

 それでも都立淵江は6回、住吉君が4番打者としての意地で、左翼スタンドへ3ランを放った。いくらか出会い頭的なところもあったが、ストレートに的を絞って見事な一発だった。そして、7回にも2四球でチャンスを得て、暴投で1点を貰うなど、試合の流れも自分たちの方へ傾きかかった。
 しかし、都立淵江の反撃もそこまで。

 8回からは東亜学園は2人目の滝君が二塁からマウンドに登った。背番号は8である。それを見ても、滝君はオールマイティのユーティリティープレーヤーなのかなという印象を与えるが、すっと出てきて、すっと抑えるセンスの良さを示した。結局2イニングをしっかりと0で抑えて責任を果たした。そして、その間に東亜学園は2番内海君のタイムリー打でダメ押しとも言える2点を加えた。

 結果的には、序盤のリードをキープした東亜学園の快勝とも言える内容だった。それでも、東亜学園のベテラン上田滋前監督を引き継いで、就任2年目となる武田朝彦監督は、「ウチはそう、打てるチームではありませんから、こうして守って勝って行くという形で、もつれながらも終わってみたら勝っていたというのがいい展開です。そういう意味では、今のチーム力としてはいい試合だったと思います。小西は遊撃手としてはどこへ出しても恥ずかしくないくらいのレベルの選手だと思いますが、能力も高いので、今日はどこまで行けるかなと先発させたのですが、7回まで持ってくれたのはよく投げたと思います。本塁打は、仕方がないです」と、冷静に今のチーム力を分析していた。それでも、夏のベンチ入りした選手が11人も残っており、「経験値は高いので、守りは安定している」と、ある程度行ける感触は得ているようだ。

 中盤追い上げたものの、届かなかった都立淵江。茶川剛史監督は、「序盤の試合の入り方というのは、何度も言っていることで、今日もミーティングで言いました。それだけ意識していたことが出来なかったということが残念です」と悔しがった。それでも、過去、都立淵江としては春も本大会に進出したことはあっても、いずれもコールド負けしていた。それだけにもう一つの目標としては「9回まで野球をやろう」ということを掲げていた。それが、東亜学園という強豪校相手に実現できたことには、「チームとしては、一つの自信になったはずだし、確実に一つステップアップしていると思います」と、光明も見出していた。

 学校としても、かつて不登校だった生徒や、何に対しても積極的に向って行けないという意識の生徒たちに、前を向いて行く希望を与えていくという活動も積極的に行っている。部活動としての野球部も、そんな活性力をうみだしていく要素の一つでもある。だからこそ、茶川監督は小さな目標でも一つずつステップアップしている実感は大事にしていきたいという思いである。

 現在部員は17人。この秋、秋季東京都大会を戦えたことで、それを一つの実績として、来春の新入生にも一人でも多く野球部に加わってほしいということも期待したいというところであろう。

(文=手束 仁

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